「屋敷を荒らす愚か者とは、俺達のことかもな」

七月 幻燈の章:
今月の攻略フローチャート


先月末からの続きです)


もちろん、BGMは一月のものとなる。あんだかちっとなつかしい感じ。 「はっ、ここは……?
そうだ、夫人に吹き飛ばされて……そのまま気が遠くなって……。
……蝙蝠……長机……? それに人形……。
ここは、はじめに来た大広間じゃないか……くそっ、なんて所まで……。
早くみんなと……合流しないと……。

……あれ?
暖炉の火が、消えている……!?」

 ・ ・ ・

真琴 「あぅーっ、角の向こうから鎧のバケモンが迫ってるよぉっ」
秋子 「真琴、こっちへいらっしゃい。扉から入れば追って来れないわ」

銀の鎧 「好き勝手言われてますねー……」
間宮夫人 「仕方ないわよ。真琴シナリオにあんたの出番はないんだから」
銀の鎧 「お姉ちゃん、それ、理由になってる?」
間宮夫人 「本記事の筆者にとっては立派な理由よ」  (同刻、銀騎士の回廊)

「ねえ、田口君」
「……聞いてるぜ」
「先に行った和夫さんたち、やけに遅いんじゃないかしら……?」
「そうだよな。きっと何か……あったんだろうよ」
「だったら、行きましょう。遅れたら取り返しがつかないかもしれないわ」
「……俺もそう思ってたんだよ」

 ・ ・ ・

落ちているのは〈きんのカギ〉。ベッドの中には最強最悪最終兵器〈かたみのふく〉が……。  (同刻、間宮夫人の居室)

「お父さん! お父さーん!」
「エミさん。残念ながらここには、星野さんの気配はありません」
「……お父さん……」
「この部屋を、一旦調べましょう。何か手掛かりがあるかもしれませんから」
「うぅ……うん。アスカさん、お父さん大丈夫かな……」
「……大丈夫ですよ。あの方なら、きっと」

 ・ ・ ・

「あっ、ア、アスカさん!」
「できれば、壁画の復元作業中に声を掛けないでいただきたいのですが」
「ごめん……でも、足音っ! 部屋の外からだよ!」
「――失礼しました。警戒を緩めないでくださいね、エミさん」

をを、水瀬家と居候の勢揃いですな。

最近筆者は『Kanon』のセカンドプレイに手を付け始めたのですっかりKanon脳と化しており、こんなことしか考えられません。

……いつも通りだな。 「どなたですか――!」
「アスカちゃん、エミちゃん!」
「秋子さん……秋子さんっ!」
「大丈夫? 怪我はないの!?」
「ようっ。へへっ、綺麗どころが無事で何よりだな」
「――田口さんも」
「おう、田口さんだぞ。ん、和夫のやつがいねぇみてえだが……?」

「田口さん……それが、それが……うわぁぁっ……!」
「大丈夫だから、落ち着いて話してちょうだい」
「うん……お父さんがここに入っていったんだけど……この部屋から夫人の叫び声が聞こえてきて……!」
「来てみたら、もぬけの殻なのです」

「てことは、ここが……!?」
「夫人の部屋です、恐らく。先ほど復元したフレスコに『わが妻へ』とありましたし」
「……そうね。じゃあ、田口君……」
「撮影だろ? 解ってる、任せときな……」



1. 夫人の部屋/フレスコ:7月7日


で、その撮影の成果がこれだ。

7がつ 7にち
つまの いかりを しずめるには
どぐう しゃしん にっき
こどものひつぎが ひつようだ

いよいよ間宮との闘いも大詰めとなってきた。この月からは上旬のフレスコ画のメッセージが、間宮一郎の回想から、夫人を斃すための戦術へと一転するのだ。〈どぐう〉〈しゃしん〉〈にっき〉〈こどものひつぎ〉、この4つが対夫人戦のキーアイテムとなることがここに示される。

この部屋ですべきことは、寝床のそばに落ちている〈きんのカギ〉を拾うことだけ。間違っても寝床を調べて〈かたみのふく〉など取ってはいけないぞ。モンスターは出現しないものの、夫人の部屋というだけで縁起が悪いのでとっとと南のドアを開けて出ていってしまおう。

銀騎士の回廊の北側に、〈きんのカギ〉で開くショートカットがあり、一月の「小さな獣のいる部屋」に通じている。ありがたい話だ。


2. 大広間/地下牢

そういや余熱も大丈夫なのか。

「あれっ?
暖炉の火が、消えてる……!」

一方その頃、こちらは和夫の飛ばされた大広間。〈きんのカギ〉のショートカット(ワンポイント攻略参照)を利用して早々に全員を合流させるほうがいいのだが、撮影が手っ取り早かったので(^^;;;)和夫だけで探索してみよう。

親切に「暖炉の火が、消えてる……!」と解説してくれるので、ここから探索に当たってやるのが礼儀というものだ。

確か正式名称は「トランスペアレンシー」だったと思うが、アイテム欄にそんな長い名前入らないのでスライドでよしとする。「暖炉だったら外に煙突か何か続いてるハズじゃないのか」などと細かいことを気にしなければ、暖炉を抜けた和夫は岩壁がむき出しとなった地下道へと出ることになる。何とも形容のしがたい気味の悪いBGMに迎えられるはずだ。

通路には前進を阻む鉄格子がはまっている。まったく、生前の間宮氏がどんな用途で使っていた区画なのか、本人が生きてたらブン殴って訊きたい所だ。

すぐ足元に無造作に置かれている四角い物体は、〈スライド〉。現時点では意味不明かもしれないが、間もなく使い所が来るので拾っておくのがいいだろう。


さらに南に開いている通路を抜けると、鉄格子には付き物なのか囚人が骸となって横たわっていた。最期の力を振り絞って遺したのであろう、ダイイングメッセージを読み取ってやろう……。


骸骨とダイイングメッセージの位置関係からすると、この囚人はどうやら左利きだったらしい。

あゆ 「うぐぅ、祐一君呼んだ?」
祐一 「何でお前が出てくるんだ」
あゆ 「うぐぅ。ボク、左利き……」
祐一 「だから、そんな細かい設定まで憶えてないって」 カベに ちでかいた もじが……!

   きんのカギのとびらは 4つだ


……筆者はそういうヒントの出し方は嫌いです。


今月は、この区画だけ敵が一段階強く、本作中最強クラスのモンスターの出現ポイントとなっている。拾うものを拾ったら、なるべく無駄足を踏まずに急いで大広間に帰ろう。


3. 映写室


さて、賢明なる読者諸兄諸姉は一月・幽閉の章の最初の回廊において、開かない「きんのカギのとびら」というものが存在したことを憶えているはずだ。今、一行は夫人の部屋で入手した〈きんのカギ〉を手にしている。開くことのなかった謎の扉が、ついにその全容を明らかにする時が来たのだ。

やっぱりこの映写機、安物の大砲か何かに見えませんか?
扉を開けた部屋の中では、ものものしい機械が祭壇を思わせる巨大な壇上に鎮座している。

この部屋は映写室であり、大口径の火砲のようにも見えるこの機械こそ、間宮の映写機なのだ。プロジェクションテレビでファミコンをやると画面ヤケを起こすため使用しないでください、というアレだ。

聞いた話だが、プロジェクションテレビで脱衣麻雀をやって、後でスクリーンに絵が焼き付いてエライ目に遭った奴がいるそうな。

念のため、筆者のことではないぞ。筆者の実家はプロジェクションテレビを買えるほど裕福ではない。
映写室の割に別に部屋の隅に映画のフィルムやらが積んであるわけでもないので、映写機を使いスクリーンに映し出すべきものといえば、先ほどの〈スライド〉しかない。いつものように捜査画面に移行し、地下牢で拾った〈スライド〉を使用してくれよう。

祐一 「誰だこの男は?」
北川 「ひ、ひでー! クラスメイトの北川だよ! 今回俺は間宮一郎役なんだ!」
祐一 「俺は12時間で人の顔を忘れる特技がある。特にお前の顔などはじめから知らん」
北川 「主役様って奴はよ……畜生……」挿した〈スライド〉により、スクリーンの右端三分の一へと投射されるのは「だれだ この おとこは?」 という謎の男の姿。

一枚の写真をわざわざ分断して保存するとは随分と手が込んでるのかどうなのか判らないが、とにかく残りのスライドを探してきて絵を完成させる必要がありそうだ。

ちなみに言い忘れてたが、部屋にはまっすぐこちらを狙って飛んでくる高性能の勾玉型浮遊霊が……。次の「氷の魔法陣」の部屋の前まで連れて行ってくれるので、ショートカットと呼ぶかどうかはお好み次第だが。


4. 氷の魔法陣/フレスコ:7月13日


さて、賢明なる読者諸兄諸姉は二月・雷鳴の章の雷鳴の回廊において、開かない「きんのカギのとびら」というものが存在したことを憶えているはずだ。今、一行は夫人の部屋で入手した〈きんのカギ〉を手にしている。開くことのなかった謎の扉が、ついにその全容を明らかにする時が来たのだ。

……いや、コピペって便利ですね。

構わず氷上を突っ切って〜……「かまわずひかみをつっきって〜」ではない。
扉の内側は写真のごとき小部屋で、度々出現した「炎の魔法陣の部屋」と同じ構造をもっている。

とはいえ、慌てて〈しょうかき〉など探してくる必要はさらさらない。見出しの通り、ここで我々を苦しめるのは燃えさかる炎ではなく、冷たく輝く氷なのだ。

部屋へと数歩踏み出し魔法陣に至ると、部屋は極低温の氷に覆い尽くされるのが分かるだろう。

例によって魔法陣の上にいるキャラにはダメージはないものの、氷を融かす方法が与えられているわけでもないので、お馴染みの炎の魔法陣のようにひとりだけ分断して行動しても全くの無意味。

まぁ、別にピッケルがないと滑って進めないということもなく、これまた例によって10ダメージ/秒の単なるダメージ床。構わず氷上を突っ切って、北側のフレスコの撮影を敢行してしまうべし。トラップとしては非常に頭の悪い部類に入るだろう。

7がつ 13にち
えいしゃきは ただしいみちを
さししめす

秋子 「あら、確か美坂さんの家の……?」
名雪 「栞ちゃん、だよね。こんにちは」
栞 「えーと、水瀬さんと、おばさまですよね? こんいちは、いつも姉がお世話になってます。あっ、そちらの人は……」
真琴 「ふっふっふ、実は『人』じゃあないわよ」
栞 「?」
真琴 「ものみの丘に巣喰う異形の眷属は妖狐の末裔、憎き祐一の命を狙う美しき復讐者――その名は沢渡真琴よーっ!」
栞 「はぁ……そうなんですか、ご苦労様です」
真琴 「あれは七年前のこと、せっかく飼われてやった恩も忘れて祐一は真琴を山奥に捨てたのよっ! あぅぅぅっ、あいつだけは許さないから!」
栞 「はぁ、七年前から祐一さんとはお知り合いなんですねー」
秋子 「うふふ。七年前といえば、祐一さんがいろんな子と遊び回ってた頃ね」
名雪 「(あの忌々しい)あゆちゃんとも、七年前に会ったって言ってたね、祐一は」
真琴 「以前、真琴に襲いかかってきた川澄って人なんか、十年前からの付き合いって話よ」
名雪 「わたしは、もっと小さい時からだよ!」
栞 「ふーん……皆さん、お付き合いが長くて羨ましいですー……」
名雪 「ていうか、栞ちゃんが接点無さすぎるだけ、だよ」
真琴 「祐一にしたら、たかだか『親戚の友達の妹』だもんね。それって赤の他人ってことよねぇ」
栞 「えぅ……そんなこと言う人嫌いです……」

秋子 「……名雪、真琴」
名雪 「なに、お母さん?」
真琴 「あぅーっ?」
秋子 「スウィートホーム攻略記事なんだから、あんまりKanonの濃い話をするのはどうかと思うわ」
名雪 「終わってから言っても、意味ないよ〜」
真琴 「ALTテキストなんだから、気に入らなきゃカーソル離せばいいのよっ」
さて、小部屋の西側からは細い通路が伸びているのが分かるはず。道なりに進んでゆくと、〈くすりびん〉と並んで2枚目の〈スライド〉が落ちている。そして、半身を引きちぎられた負傷者が。

「た…たかしに…伝えてくれ…。外の…銅像は…押せると…」

そう、この負傷者は何度か登場している先発隊の一員であるようだ。「たかし」「けんじ」「えつこ」「しょうご」のうち「しょうご」さんは五月・劫火の章で死んでいるので、恐らくこの半身男は「けんじ」氏なのではないだろうか。

ともかく、けんじ(仮名)氏のメッセージによって、次は外にある銅像なるものを押せばよいということが明らかになった。けんじ(仮名)氏の冥福を祈りつつ先を急ごう。

……それにしても、この人どうやってきんのカギの扉を開けたのでしょう?


5. 堀/フレスコ:7月24日


さて、賢明なる読者諸兄諸姉は一月・幽閉の章の最初の回廊において、銅像のある外堀というものが存在したことを憶えているはずだ。今、一行は氷の魔法陣の部屋でけんじ(仮名)氏のメッセージを聞いている。動くことのなかった銅像の先が、ついにその全容を明らかにする時が来たのだ。

……ハイ。もういい加減にします。

名雪 「祐一の背中、広いね」
祐一 「こら名雪、離れろっ。重いだろっ」
名雪 「ひどいよ〜、重くないよ〜」
 ・ ・ ・
北川(銅像役) 「あ、相沢の野郎……羨ましい……俺も、俺も美坂と……ッ!」
香里 「北川君、人間は諦めが肝心よ」
美汐(銅像役) 「そうです北川さん、出番があるだけマシではないですか」間宮夫人に吹き飛ばされて大広間に戻されるイベントが発生することによりひとつのフラグが成立し、以後外堀の銅像を押して動かせるようになる。ゲーム上は、氷の魔法陣のけんじ氏の台詞を必ずしも聞く必要はなかったりする。

銅像の向こうに広がっているのは、四月・水牢の章以来の懐かしのイバラ。〈ぐんて〉を使えばノーダメージで通行できるとはいえ、ここまで来た一行ならば、たかが10ダメージ/秒のトラップを危懼するようなヤワなHPは持っていないだろう。

名雪 「うにゅ〜っ」
祐一 「ほら、イバラ絡まってるぞ。今解いてやるから」
名雪 「うにゅ……ありがとう……」
 ・ ・ ・
あゆ 「うぐぅ……どうして祐一君とあの泥棒猫がイイ雰囲気なんだよっ」
真琴 「真琴より出番多いあんたが文句言わないのっ!」イバラの先には、おあつらえ向きにフレスコ画と〈スライド〉が。田口を引っ張ってきて撮影会を開けば、その成果は次のごとし。

7がつ 24にち
ただしいみちは 3つの おもいでに
よって あらわされる

うーむ……こういう風に記事としてまとめて書いてしまうと、どうも淡白な展開に思えるな。ゲームをやっている身では、序盤で謎として残されたものが次々と解かれていくのは気分のいいことだし、〈スライド〉ひとつ探すのにも胸がドキワクなのだが……。


6. 三つの思い出

正しい道は三つの思い出によって顕される 」という。間宮一家の思い出を焼き付けた3枚のスライドが揃ったら、一路「正しい道を指し示す 」という映写機を目指そう。

北川 「ほら見ろ! 俺が写っているぞ! くぅ〜っ苦節17年、端役で下積みを重ねた甲斐があったってもんだ……」
香里 「北川君、カメラ映えがしないわ。オッサン顔ね」
 ・ ・ ・
祐一 「まぁ泣くなよ、北川」
北川 「うるせぇっ。お前は水瀬にオッサン顔と罵られたことがあるか。グスッ」
地下牢で拾った1枚目に続いて、一行が今手にしている〈スライド〉は2枚。どちらかを「つか」って、映写機に挿してやる。

スクリーンの中央に現れたのは、産衣にくるまれた赤ちゃんの姿。写真の端が黒く灼けているのが痛々しい。

1枚目の〈スライド〉では誰とも判らぬ謎の男だったが、この赤ちゃんの出現により「まみや いちろうと あかちゃんか?」 と今さら気付く和夫。……って取材班だったら間宮一郎の顔ぐらい事前に調べてこいよな。

北川 「というわけで美坂、俺と一緒になろう」
香里 「あたしは遠慮しとくわ」
北川 「なぜだっ! こうして子供だっているじゃないかっ!」
香里 「……あんたと作った憶えはないわよ。あんまり勝手こいてると写真みたいに焼き殺すわよ」
北川 「勘弁してください。売れない頃は体も張りましたが流石に死ぬのはちょっと」
香里 「安心して。冗談よ」
北川 「ど、どこまで?」
間髪を入れず、続けて3枚目を「つかう」と……3枚のスライドが揃い、とうとう写真が完成した。

「あかちゃんとふじんの ところが もえている!」

写真とは、記憶を画に封じ込め、永きの後へと残すもの――。夫人と子供の画が焼かれているのは、肉体を焼かれる苦痛が、死してなおも夫人らに残されていることを暗示するのだろうか……。

(ちなみに原作映画では映写機を作動させると赤ちゃんと夫人の箇所が焼け落ちるという演出だったが、ファミコンでそこまでやるのは無理だったようである。)

なおここでは、攻略の流れに沿って地下牢で拾ってきた〈スライド〉を最初に挿しているのだが、ゲーム的にはどこで拾った〈スライド〉かに関わらず、1枚目で一郎・2枚目で赤ちゃん・3枚目で夫人の画が出てくるということを付記しておく。

別に画面効果として光線が出て壁を破壊するわけじゃないんですが、このメッセージ見たらそうとしか思えないぞ。
ところで、写真自体なかなか演出としてイイ出来だと筆者は思うが、3枚揃ったところで別に具体的に何かが起こるわけではない。

そう、何かが起こるためには、自らの手で何かを起こさねばならないのだ。そろそろ予想がつく頃だと思うが、今こそ願いを叶える奇跡のパワー・こころのちからを使う時だ!

スライドのひかりが カベに のびていく……
カベが くずれた!!

一定量の心の力を消費することにより、映写機の放つ光はスライドを透過して壁に照射される。この映写機の効果、「一条の光が放たれ、その光の示す道が正しい道である」などという生ぬるいものでは断じてなく、和夫らの思いの力――こころのちからを帯びたその光は、なんと破壊光線となって壁を物理的に破壊するのだ!


…………。

この映写機、武器として持って行けないかな……。5人がかりなら運べそうな気がするぞ。


7. 正しい道

よく考えたら、映写機を運べたとしてもつっかえて出られない。
で、写真は映写機の高エネルギービームにより破壊された例の壁だ。これが思い出によって指し示された「正しい道」というものであり、正しい道の先には、来月へとつながる文字通りの鍵がある。浮遊霊に一応注意して、壁の先へ進もう。

あゆ 「うぐぅ……だから祐一君とくっつかないでよっ! この泥棒猫!」
名雪 「……わたしが泥棒猫なら、あゆちゃんは本物の泥棒だよ。錠前破るし」
祐一 「食い逃げするしな」
あゆ 「うぐぅ、放っといて……。それに、ボクの〈カギ〉じゃこのドア開かないもん」 一月・幽閉の章で、壁に阻まれて立ち入ることのできない下り階段があったことは賢明なる読者諸兄諸姉ならばご記憶のところだろう。その下り階段は、映写室の壁から続く正しい道から通じていたのだ。

北へ伸びた通廊を行くと、やがて1枚のドアが見えてくる。ここはエミの出番……と言いたいところだが、なぜかこのドアは〈2コのカギ〉を使わないと開かない。そこら辺に置いてきた人は残念ご愁傷様である。

ダブルロックで厳重に錠を下ろしてあるとすると、このドアの向こうにはよほどの重要アイテムが保管されていることが予想されるだろう……。

壁の上から、壁に貼ってある貼り紙を読む。これ怪奇現象。

あゆ 「うぐぅ祐一君、くようとうって何?」
祐一 「ひらがなで書くと、確かに解りにくいんだよな。供養塔、供養するための塔だ」
あゆ 「くようって、何?」
祐一 「…………使い回しじゃないかっ!」
あゆ 「貼り紙が同じだから、いいんだよっ!」 ドアをくぐるとBGMと画面の色調は一変し、一種懐かしいと感じられるかもしれない。三月・泥濘の章の「中庭」へ至ることになるのだ。もちろん、中庭の中でも三月の段階では来ることのできなかった区画にである。

探索し〈てつのカギ〉が落ちていることを発見するのは、ここまで来た探索者には難しいことではないはずだ。

屋敷のカギの中で最後となるこのカギは、別に鉄格子を開けるからって鍵の材質まで鉄である必然性は全くないと思うのだがまぁとにかく鉄格子を開ける能力を備えている。来月は地下牢の向こう側、隘路うねる洞窟が主戦場となるだろう……。


戻る