プレリュード
呪われた屋敷、間宮邸。
5人のメンバーからなる取材班は、フレスコ画家・間宮一郎の遺したフレスコ画を求めて、今はもう誰も住んでいない、この屋敷へ乗り込んだ。
記者の先導で、一行は館に踏み込む。馴れた手つきで門をこじ開ける少女。女性救命士が、もしもの備えにと携えた医療具を確認する。
そうして取材の準備に取りかかる彼らに、禍いは突然降りかかった。
彼らの背後で、外へと通ずる扉がひとりでに閉ざされたのだ。
びくりと振り返った5人の周りの全て、部屋そのものが、軋み、歪み、うなりを上げる。成す術もない5人の目の前で、構造材はその結合を破綻させ天井を崩落させる。
――気付いたときには、瓦礫が山をなして彼らと扉とを隔てていた。
出口への路を断たれ愕然とする一行の頭上に、全身から憎悪を迸らせる白い人影が浮かびあがった。記者の知識が確かならば、それは故・間宮一郎の妻のはずだった。
だが夫人も、既にこの世の人ではないはずなのだ。色を失って立ち尽くす取材班を睨みつけ、夫人は一方的に叫び声をあげた。
<屋敷を荒らす愚か者ども、生きてここから出すわけにはいかない!!
我が恨み、思い知れ!!>
怒声が、聴覚ばかりか空間をも揺さぶるような重い衝撃を走らせた。
記者は震えながら、できもしない格闘の構えをとり、傍らの女性記者は本能的に耳と目を塞いだ。それを嘲るように、夫人の姿は凶々しい静寂だけを残して虚空に消えた。
「……ど、どうすんだよ! 出れなくなっちゃったぞ!!」
――若いカメラマンが、部屋を満たす沈黙の中でもがくかのように、吃りながらそうまくし立てた。
一行のリーダーなのであろう記者が、荒くなっていた自分の息とともにそれを制する。リーダーとしての責任感がそうさせるのか、記者は努めて威厳を保とうとして、できるだけはっきりと言った。
「落ち着けよ。……他の出口を探そう。
この屋敷の部屋を回れば、いい方法が見つかるかもしれない」
瓦礫の裏側に閉ざされた、かつて出口であったもの。その反対側に、屋敷の奥へ通ずる扉が誘うように口を開けている。部屋にあるものは、それきりだ。進むしかない。誰が決めるでもなく、誰もが同時にそう知った。
彷徨の果てに、彼らは出口を見つけることができるだろうか。
何人が、この屋敷から生きて出られるのだろうか。
出口を求めて、5人の戦いが始まる。
プレイヤーキャラ紹介
取材班は男性2人・女性3人の5人パーティーで、実は酒池肉林ギャルゲーというのは嘘だが、メンバーの能力を把握して適材適所に彼らを動かすのが間宮邸脱出への布石だ。
ゲーム開始前に、パーティーの5人の名前入力がある。名前は平仮名のみ6文字までで、濁点・半濁点は1文字に数える。拗促音は「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」のみ、記号は「ー」が入らないくせに「!」と「 (スペース)」が入力できる。したがって「きらいて゛す」は入りますが「うく゛ぅ」とか「あぅーっ」とかはダメです。
原作映画に基づいてデフォルト名が設定されているので特に名前入力の必要はないが、好きな女の子の名前を入れたまま友達に貸したりして恥ずかしい目に遭うのも一興だ。
星野和夫 |
|
|||||||
「おれは ひとりでだいじょうぶ。」 |
||||||||
取材班のリーダー(たぶん)。固有アイテムの〈ライター〉を使い、物を燃やすことができる。 ……と書けば様々な局面で役に立ってくれそうだが、ライターで燃やして通れる障害物は廊下に張ってあるヒモだけ。ライターがなくてもローソクに灯は点くし、攻撃アイテムとしてもわずか数種類の敵にしか効果がないので実際は最も芸のないキャラだ。最大HPが女性キャラより50ポイント高いのが唯一の救い。OPデモのお蔭で印象だけは頼もしいので個人的には好きだが。 映画版の配役は山城新伍。 |
早川秋子 |
|
|||||||
「かす゛お さん |
||||||||
救急医療のエキスパート(おそらく)。ナース姿がまぶしい。彼女の固有アイテムの〈くすりばこ〉は毒ばかりか「金縛り」や「呪い」までも一瞬で解いてくれてとてもありがたいが、普通の傷は1ポイントたりとも治せないので言葉通りにただ怪我したときに彼女の元へ行っても全くの無意味。でもこの人に「おねがいね。」なんて言われた日にゃあ、それだけで筆者がんばっちゃう。 映画版の配役は宮本信子(伊丹十三の嫁さん)。秋子つながりで名雪さんのお母さまの方を連想していた筆者にとっては精神攻撃に等しかったです。 |
田口亮 |
|
|||||||
「おれは おまえといっしょに |
||||||||
見たままだが、カメラマン。固有アイテムはやはり〈カメラ〉。フレスコ画を写真に収めるというゲーム上重要な役割を担っている。ただし言動が生意気なので筆者には気に入られていない。カメラのフラッシュは攻撃にも使えるが、こちらもわずか数種類の敵にしか効かず、まともにダメージが入るのはコウモリくらいなのでおとなしく武器を装備して力任せに殴るのが吉。彼も最大HPが女性軍より20ポイント高い。 映画版の配役は人呼んで形容詞の魔術師、古館伊知郎。 |
アスカ |
|
|||||||
「そこまでいうなら いっしょに |
||||||||
正体不明の女性。固有アイテムとしてなぜか〈そうじき〉を持っており、障害物のガラス片を撤去するほか、フレスコ画を清掃して撮影可能な状態にするというこれまた重大な役割を果たす。だがしかし、芸術作品をよりによって掃除機で掃除するってのはスゲェ暴挙だと思うのは筆者の気のせいですか。役には立ってくれるのだが、彼女も言動が生意気なので、田口同様筆者には疎んじられている。 映画版の配役は黒田福美……って名前は聞いたことあるんですが、何演ってる人? |
星野エミ |
|
|||||||
「くらくて こわいの |
||||||||
星野和夫の娘。固有アイテムの〈カギ〉は 映画版の配役はNOKKO。 |