「屋敷を荒らす愚か者とは、俺達のことかもな」

八月 血砂の章:
今月の攻略フローチャート


1. 中庭/フレスコ:8月2日


実はここを通らなくてもいいのだが。 実はここを通らなくてもいいのだが。

てつのカギのとびらが ある。


一月・幽閉の章以来くまなく目を光らせてきた目敏い探索者たちは、画面写真に見える扉が最初の回廊にあったことを憶えているだろう。当時謎のまま閉ざしておかねばならなかった扉だが、今や一行はこの邸最後の鍵〈てつのカギ〉を携えているはずだ。一行にとって、屋敷内のあらゆる扉はもはや障害にならない。

洋館だけに、溶岩?

うっわ下手ぁ……。
〈てつのカギ〉の扉を開け放つと、仄暗い燭台の灯る通廊と三月の重苦しいBGMが一行を迎える。通廊を抜けようと歩く一行に向かって、壁をぶち破り躍りかかるのは……なんと、溶岩の激流だッ!

溶岩の中になんか入ろうものなら究極生物カーズ様でもないかぎり確実に命はないと思うのだが、取材班にとってこんなものは10ダメージ/秒のいつものダメージ床。どうせ〈しょうかき〉も効果はなく移動にも支障はないので、勇気を出して通廊の向こうへと突っ切るのだ。

ちなみにここは〈2コのカギ〉の扉。
……お前ら、なぜカギを持っている。さらになぜ内側からカギをかける。


それはおそらく、
「そりゃまぁ何だなえつこ、こんな小部屋に男と女が二人っきりなら、やることと言えばだなぁ」
「…そ、そんなことする人、嫌いです。嫌い…ですけど、嫌では…ないです…」
てなことをやっている隙にモンスターにボコられたんじゃないでしょうか。合掌。

筆者はこんなことしか思いつかんのか……?
溶岩流を抜けると、三月のBGMがここで流れる理由が解ることになる。すなわち、先の通廊は中庭の一角に通じていたのだ。

進んだ先にはフレスコの飾られた一室があり、また何故か六月のBGMが流れる。田口のカメラの出番だ。

8がつ 2にち
4つの どうぐは つまに
へんかがあらわれたとき つかえ

七月から、上旬のフレスコ画のメッセージは夫人を斃すための戦術解説へと一転している。先月に知らされた〈どぐう〉〈しゃしん〉〈にっき〉〈こどものひつぎ〉を使うべき時機を解説しているのだ……と言いたい所だが、実は終章で山村老人が教えてくれる情報のほうが正確かつ解りやすいのでこのフレスコには残念ながら無意味。この部屋の真の意義は、重要アイテムが落ちているということなのだ。

画面写真をご覧の通り、ここでも先程の通廊と同様壁から突然激流が襲ってくる。今回は中庭だけに下水溝から流れてきたのだろうか黄金水だ(下品)。何と言うかその、精神的には溶岩よりキツいダメージ床だが、ここはぐっと我慢して〈しゃしん〉と〈あおいローソク〉を拾いに行こう。


犠牲者の言葉にも、我々は耳を傾けておかねばならない。

「えつこ……どこだ?」

「た たかしさんが…ひとりで……
ふじんを…たおすって……
おねがい……とめて……」

ドット絵は同じだがこれは本邦初公開、半身女のえつこさん。リーダー格(多分)のたかしさんといえども、アイテムは1人2個というこのゲームのシステムでは、たった1人で立ち向かって間宮夫人には勝てるはずがない……。女の子の頼みに弱い筆者は、たかしさんを止めるべく先を急ぐのだった。


2. 地下洞/流砂の房室/フレスコ:8月14日

撮影失敗。本当は暖炉の階段の付近に鉄格子あります。
中庭の隅の下り階段から続く地下洞窟は、五月・劫火の章の地下室とはまるで趣を異にし、名状しがたい不気味なBGMでもって取材班を迎え入れる。

それにしても建造物の真下に洞窟があるというのは素人考えにも凄ぇヤバイような気がするのだが、建築に詳しい友人に訊くと「正確な図面がない以上ハッキリしたことは言えないが、何の工事もなしで自然洞窟の上に家は建たない」とのことだったので、どうやら間宮一家の霊力か財力で洞窟に何らかの手が加わっているものと推察される。

何気なく落ちている最強武器〈みつまたのほこ〉を拾ったら流砂の房室に赴くのだが、その前に遺された犠牲者の声を聴いておこう。

(骸骨)
うあー!!
すなが……のみこまれるう……
だれか だれかロープを…………

(書き置き)
あとを おうものへ
ロープを おいていく
このさきの あなにはいるなら
ひとり そとに のこしておけ

……と、ご丁寧に二段構えでアドバイスをくれるのが、間宮邸最後にして最強のトラップ「流砂」である。指示どおりに最低一人を外に残して、穴の中に入ろう……。

なおどうでもいいことだが、ここの流砂の発動条件は「フレスコ画を撮影すること」なので、やりようによってはここでゲーム続行不可能にできるのではないだろうか。

例: 〈ポラロイド〉を持たせない状態で、田口以外を全員落とす。

流砂が発動しない限り、なぜか〈ロープ〉で仲間を引っぱり上げることはできない。すなわち、残った田口は流砂に落ちるか、一人で先に進むしかなくなりハマリとなるわけだ。
……別に試さなくていいけど。 南側の入り口から入ったのが田口とアスカ。東側の入り口からは〈ボーガン〉(〈ロープ〉の代り)を持たせた和夫が入った。例によって、アスカに清掃させ田口に撮影を執り行わせる……。


8がつ 14にち
さんにんのおとこが たちはだかる
さんにんのおとこは うごかない


……刹那。

二人の足元の砂が音を立て、渦を描いて流れ始めた!

真琴 「あぅーっ! 祐一ーっ、早く助けなさいよーっ!」
祐一 「ふははは……いいザマだなァ、真琴」
真琴 「真琴の命がどうなってもいいのっ! 20秒しかないんだから、さっさと〈ロープ〉投げなさいよぅっ」
祐一 「無礼者がッ! それが助けを求める者の態度かッ! 哀願しろ! 泣き喚いて助命を乞えッ!」
真琴 「祐一なんかに命乞いするくらいなら、舌噛み切るっ」
祐一 「フン、誇りとともに心中しようというわけか。それもいいだろう」
秋子 「祐一さん、キャラが違うのは結構ですけど、そのくらいにしてあげて下さい」
真琴 「そうよぉっ」
祐一 「秋子さん! 真琴を庇わないで下さい!」
秋子 「……私が遊びたいのよ、真琴で。真琴で遊ぶと、楽しいから」
祐一 「へ? 『で』?」
秋子 「祐一さん……私から遊び道具を取り上げる気ですか……?」
祐一 「……いえ、滅相も」

 ・ ・ ・
祐一 「命拾いしたようだな、真琴」
真琴 「助かったのかどうか判んないわよぅ……」 名雪 「……左のSS、わたしの存在無視されてるんだぉー」

流砂は裂けた床とは違いHPに対するダメージこそ持っていないものの、さらにタチの悪いことに、落ちた者はきっかり20秒で流砂の回転中心に呑み込まれ、有無を言わさず死に至るのだ。

助かる方法はひとつ、上右写真のように仲間に〈ロープ〉か〈ボーガン〉で引っぱってもらうこと。南側の入り口――つまり、橋のないほうの側から入ってしまえば勿論流砂に飲み込まれるので、焦りは禁物だ。実際、ファーストプレイ時の筆者は急いで助けねばとばかりに仲間を手近な入り口から突っ込ませてしまい、一発で全滅した苦い経験がある。

賢明な読者諸兄諸姉には慎重なプレイを筆者は期待するが、一方で一度ここの全滅の屈辱を味わってもらいたかったりもする。

流砂の房室を横目に、北へ少し進むと次の血砂の河が見える。


3. 血砂の河(1)


朱紅い砂の河――。

本編中、この流れる赤いのが砂であるとは一言も説明されないが、しかし他に何が流れてるわけでもないと思うので砂にしておく。鉄鉱石が採れるとしたら赤鉄鉱(Fe2O3)である。
夥しい犠牲者の流した血を吸ったものか、もとからこういう色の砂なのか。もし元々赤い砂なら、おそらくこの地層にはIII価の鉄(Fe3+)が多量に含まれており、豊富な鉄鉱石を産出するはずである。自前で鉱山まで持ってるんだったら間宮が金持ちなのも道理だ。

血砂の河のトラップとしての性能は、下水溝や永久氷と基本的に変わらない。踏み込むとパーティーが分断され、一定方向に押し流される。流されている間の十字キー操作は、流線に垂直な方向入力のみ受け付ける……というものだ。


だが今回、前二者とは決定的に異なる、「〈ピッケル〉が効かない」という一点に言及しておかねばなるまい。これこそ、今月を難解なパズルたらしめているものの正体である。

とはいえ、具体的な対策は単純なものだ。どうせ河に入ればパーティーは分断されるので、最初から「なかま」で分離して一人ずつ渡河すればよい。河に入ったら、斜め45度を狙って十字キーの上か下を押して進む(河は横方向に流れるものしか存在しない)。

赤い砂の河は右へ流れているので、画面写真の位置から上に入力すれば矢印のようなラインで向こう岸にたどり着けるだろう。面倒と言わず、これを全員ぶん繰り返せばよいのだ。


ただし、河の中でもモンスターは出現することがある(そして普通に戦闘する^^;;)。もしそうなったら最上の策とは、何も考えずに逃げることだ。1対1の戦闘なら、こちらが1人逃げてしまえば戦闘は終了させられるのだから。


向こう岸にある小部屋群はどれも、何もないただの流砂のトラップである。死にたくなければ入ってはならない。


4. 血砂の河(2)


そして、先述の方針に従えば、以後の砂の河を渡るルートは下の図のようにまとめられることだろう。見よ! 気になるルートを大・図・説!! 十字キーだけで円満脱出!! これぞ血砂の河完全攻略ルートなり!!


……作るのちょっと面倒臭かったです。


所々に杭が打ってあるのにはついつい〈ロープ〉などが必要なのかと思わせられるが、実際には全ての河は徒歩で渡り切ることができる。必然性の全くない杭の存在は、ミスディレクションに等しいといえるだろう。

同じく、南端に位置する骸骨とそのダイイングメッセージも全くのミスディレクションであり、こんなものは無視して先へ進んでしまうのが正しい。


北の上り階段は、霊安室への入り口。霊安室と言えば、柩が安置されたスポットである。


5. 霊安室/フレスコ:8月22日

栞 「ゆ…祐一さんですか?
  何とか…ここまで…来たんですけど…。後を頼みます…。
  …あはは…歩けないみたいです…。
  私…たぶん、死にたくないです…」
いつも笑顔で、ずっと笑っていた少女…。
最後の最後まで、流れ出る涙をこらえながら…。
祐一 「栞…」
栞 「私、笑っていられましたか?
  ずっと、ずっと、笑っていることが、できましたか?」
祐一 「はぁ…。あのなぁ、栞」
栞 「どうしたんですか祐一さん? 呆れた顔して」
祐一 「それ、『Kanon』の台本だろ」
栞 「えっ!? …えぅ〜、間違えました〜…」

や…山村か?
何とか…ここまで…来たんだが…。後を頼む……。

〈どぐう〉、〈しゃしん〉、〈にっき〉、〈こどものひつぎ〉の順で使え!
そしてこころのちからを……。
いいか、使い時を間違えるな……。


時はすでに遅し。

半身を裂かれ、息も絶えんとしているこの男は「たかし」なのだろう。夫人の霊を鎮めるために必要とされる〈こどものひつぎ〉をこの霊安室で目前にしながら、先発隊のリーダー・たかし氏は力尽きたのだ。

先発隊の全滅は、これをもって取材班自身の目で確かめられてしまった。彼らの探索の目的は何だったのか、彼らは山村老人といかなる繋がりを持っていたのか……未だ、多くの謎を残したまま。だがいま我々の目的は、死者の周辺を嗅ぎ回ることではない。今はただ〈こどものひつぎ〉を手に取り、間宮夫人と戦うために武装するのだ。

6個ある柩のうち、5個はただの障害物でありハズレ。左上の1個が大当たりで〈こどものひつぎ〉ゲットだ。


そして、壁の絵は間宮邸最後のフレスコ画……。

8がつ 22にち
そのてに あおいともしびを つけ
くろうを ねぎらってやろう

半身男とかが出てくる例のポイントまで直で帰れる、何気に親切設計。そんな隠れた優しさが、間宮邸のいいところだ。
この間宮一郎の最後の言葉を確認しつつ、霊安室を後にしよう。東の壁に設置された鏡は落ちている〈ハンマー〉で破壊可能で、写真のような親切なショートカットとなっているぞ。


……つまるところ、血砂の河では一人だけ分離して進ませ、あとのパーティーは暖炉の前にでも待機させておくのが実は一番手っ取り早かったりする。

血砂の河を渡って霊安室に辿り着いた一人がここのショートカットを開ければ、他の人員までもがわざわざ鬱陶しい河渡りをすることはなく、一月の区画を通って霊安室に楽々合流できるからだ。しかしまぁ、ファーストプレイでそんなこと思い付く奴がいたら顔が見たいが。


6. 邪神像


間宮邸の最後の謎に対する答えは、この月のフレスコ画に暗示されているはず。フレスコに託された一郎のメッセージを、もう一度思い返してみよう。


さんにんのおとこが たちはだかる / さんにんのおとこは うごかない

そのてに あおいともしびを つけ / くろうを ねぎらってやろう
言うまでもなく、六月・巌窟の章からの使い回しです。
言うまでもなく、六月・巌窟の章からの使い回しです。そしてこのALTテキストもコピペです。


ここで我々は画面写真の場所、すなわち六月・巌窟の章の銀騎士の回廊を思い起こさねばならない。北東端に立っている邪神像がちょうど3体だったことには、賢明なる読者諸兄諸姉ならばすでにお気付きの所であろう。

六月時点では、実際に邪神像はあらゆる手立てに対して動くことはなかった。万能魔法のこころのちからの行使さえも、当時の邪神像の前には徒爾に終わったはずだ。まさに「三人の男は動かない」のである。

だが今や、間宮一郎のメッセージは言う。守護者たちの労をねぎらうため、三人の男の手に我々が灯すべきは「青い灯火」であると。


……〈あおいライト〉か? いや違う!

今こそあの用途不明の謎の蝋燭、〈あおいローソク〉がその本領を発揮する時なのだっ!


〈あおいローソク〉は、邪神の数にあわせて邸内に3本用意されている。以下に各ローソクの場所を挙げておこう。リンク先には、具体的な位置の解る画面写真も貼られているはずだ。

  1. 六月・巌窟の章: 永久氷の間 (2)
  2. 六月・巌窟の章: 獣の小部屋
  3. 本章: 8月2日のフレスコの部屋

ただし、うっかり途中で〈あおいローソク〉を拾ってしまい、用途が判らないのでその辺に置いたまま先に進んだりすると、確実に場所を忘れるのでご愁傷様である。もちろん筆者も忘れましたよ!

つか本作のプレイ経験のある人なら、絶対にファーストプレイではこの〈あおいローソク〉ロスト現象に一杯喰わされたと思うんですが。こういうのも、趣向を変えたトラップの一種として制作者はホクソ笑んでいたことだろう。


みさき 「メリークリスマス、浩平君」
浩平 「悪い。クリスマスらしいもの、全然集まらなかった。一応、蝋燭を持ってきたけど」
みさき 「どんな蝋燭?」
浩平 「…〈あおいローソク〉」
みさき 「邪神像に捧げる儀式みたいだね…」
浩平 「みたいと言うか、そのものだけどな」
みさき 「でも、私はこんなクリスマスのほうが楽しいよ」
浩平 「…先輩の感性には、時々ついていけないぞ」

ローソクを どうぞうのてに のせてみる……。
ぴったり はまった!

拾ってきた3本の〈あおいローソク〉を使用したのが右の写真なのだが、直後に表示されるのは「しかし なにもおこらなかった。」との無情なメッセージ。――考えてみれば当然である。ローソクはあくまで蝋の固まりであり、火がなければ決して灯火にはならないのだから。(ここで「じゃあ〈ローソク〉はどうなんだありゃ勝手に火ィ点いてたじゃあねーか?あ?」と言える人は筆者と同類です。)

ここで満を持して登場するのが、火を操る取材班のリーダー・星野和夫。ヒモとかうじむしを燃やすぐらいしか能のなかった彼だが、その〈ライター〉が今まさに、蒼い蝋燭に聖なる種火を灯す――! 最後の最後で見せ場を持ってくなんて、さっすがリーダーやることが憎いゼ!

赤々と燃えさかる火はどう見たって「青い灯火」には見えないが、まぁとにかく炎のゆらめきの表現はファミコンながらなかなか見事。邪教の神に捧げる儀式のような、禍々しい雰囲気がよく出た演出だと思う。


みさき 「何点?」
浩平 「そうだな、82点ってとこかな」
みさき 「何だか半端な点数だね」
浩平 「え? イベント発動に必要な心の力のポイントを訊いてるんじゃなかったのか?」さあ、ここまでくれば後はやることはひとつ。立ちはだかる邪神に対し、君のこころのちからを解き放つのだ!


ほのおが はげしく ゆれだした!
どうぞうが くずれていく……。


邪神像が崩れるアニメーションなどは一切ないのだが、とにかく邪神像は崩れ去り、その跡には一行の赴くべき最終決戦の場へと道が示されることだろう。


そして戦いは、佳境へと疾駆する――!


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